Basketball for Social Change

Basketball for Change

Basketball For Change ―FIBA財団【後編】

バスケットボールは、チームスポーツとして初めて国連記念日に認定されたスポーツであり、世界中に33億人のファンをもつバスケットボールには、「世界を変える力」があります。

「Basketball For Change」シリーズでは、「世界を変えるバスケの力」をテーマにバスケットボールを活用した社会変革を推進する世界のNGOや著名バスケットボール選手による社会貢献活動を取材、その志と活動内容について、バスケの試合のように、以下の4つのセクションに分けてご紹介していきます。

1st Quarter: 活動の概要
2nd Quarter: 団体の活動の特徴
3rd Quarter: バスケットボールを用いた社会変革、そしてインパクトのストーリー
4th Quarter: 今後の展望・バスケットボールの力について

シリーズ第1弾は、FIBA財団のシニアマネージャー、Theren (TJ) Blllock Jr.氏よりFIBA財団の“Basketball for Good”プロジェクトについて、World Basketball Day 啓発セミナー基調講演でお伺いしたお話についてご紹介しています。前半では、その活動の特徴と想いについて触れました。(前半はこちら

 そして後半では、実際の事例を基にさらにバスケットボールの持つ社会性と今後の展望についてです。

バスケの力」はこう使う!FIBA財団3つのプログラム
3rd Quarter: バスケットボールを用いた社会変革、そしてインパクトのストーリー

FIBA財団の”Basketball for Good”プロジェクトは、2023年には年間で100を超える国に展開され、25万人もの若者に「バスケットボールの力」を広めました。

では、具体的にどのように行ったのでしょうか。“Basketball for Good”の3つのプログラムとその例を紹介します。

まず1つ目は、ミニバスケットボールの促進(5歳から12歳を対象にしたもの)です。このステージでの目標は、バスケットボールというスポーツを好きになってもらうこと、スポーツを通じたコミュニティの一員になってもらうことにあります。

FIBA財団は、各国のミニバスケットボールの指導者と協力して、バスケの練習とSDGs課題を組み合わせたプレイブックを作り、実践します。例えば、「Hoops for Health」では、ドリブルやレイアップの練習に食育を取り入れるユニークな方法を提唱しています。

「皆がする練習方法のひとつに、クロスオーバーをしてからレイアップやシュートをするというものがありますよね。でも、コーチがただ「左!」とか「右!」と叫ぶ代わりに、例えば健康的な食べ物や果物を言ったらどうでしょう?それが合図となり、子供たちは左から右へのクロスオーバーをします。今度は、コーチが不健康な食べ物や飲み物を叫び、子供たちはダブルクロスオーバーをしてから左にドライブをします。

このように、バスケットボールの基本やゲームを楽しく学びながら、その地域の社会問題の食育と結びつけることができるのです。」

2つ目は、ユースリーダーシップの育成です。FIBA財団は、未来の社会起業家である彼らが新たに“Basketball for Good”プロジェクトを企画推進する手助けをしています。2023年に沖縄で行われたワールドカップでは、日本人ユースリーダーが活躍しました。 FIBA財団の支援のもと、日本組織委員会・JBA(日本バスケットボール協会)と協力して、バスケットボールのルールを取り入れた対戦型ゴミ拾いゲーム 「Pick & Shoot!」の企画から実行まで行いました[1]。

ラストの3つ目は、地域社会支援です。各国のバスケットボール協会と一緒に地域の問題を解決するべくバスケットボールの力を使ったプログラムを提供します。

例えば、東アフリカに位置するセーシェル共和国では41%の子供が肥満と診断され、死因の79%は非感染疾患(がんや糖尿病など不健康な食事や運動不足などで引き起こされる慢性疾患をまとめて総称したもの)で亡くなっています。そこでFIBA財団は、「Hoops for Health」を使って体育教師を訓練し、子どもたちにバスケットボールと健康教育を同時に叶えるプログラムを展開しました。

Basketball for Good”はバスケを使って変化を生み出そうとする全ての人々のコミュニティ
4th Quarter: 今後の展望・バスケットボールの力について

Bullock氏は、FIBA財団の“Basketball for Good”プロジェクトを「FIBA財団だけのものにはしたくない」と言います。“Basketball for Good“は、志ある誰もが参加できる、包括的なコミュニティなのです。

「私たちだけが、社会的側面でバスケットボールの力を使った活動をしているわけではありません。世界にはそのような活動をする、より広がりを持ったコミュニティが存在していることを私たちは知っています。私たちの使命は、そのすべての人々に最大限の支援、希望、サポートを提供することです。」

そのような想いから、FIBA財団は2020年より“Propose a Project(プロジェクトを提案しよう!)”という助成金イニシアティブを実施しています[2]。バスケットボールを使ってSDGsに取り組むプロジェクトを支援し、「バスケの力」を使った更なる社会変革を目指しているのです。昨年2024年には、世界中から241件もの応募があったといいます。

最後にBullock氏は、12月21日に2度目に祝われた「世界バスケットボールデー」についてこう述べました。

「もちろん、世界バスケットボールデーは私たちにとって重要な1日となります。12月21日は、Basketball for Goodの活動において、スポーツの力を讃え、広げる機会としてとても意義のある1日になりました。」

ただし、彼らFIBA財団はそれだけでは満足しません。

「私たちにとってはこの日を特別に祝うのではなく、毎日がバスケットボールの日なのです。バスケットボールには33億人ものファンがいます。

私たちの使命は、彼らに最大限の助け、希望、そして支援を提供すること。それは1年365日、毎日行われています。」

[1] Okinawa2023 日本代表応援サイト(https://okinawa-basketball.japanbasketball.jp/column/2023/08/586)
[2] FIBA財団公式HP “Propose a Project” (https://fibafoundation.basketball/page/propose-project)

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