4億5000万人がプレイする世界的に人気スポーツであるバスケットボール。一般社団法人 Next Big Pivot 代表理事・FIBA財団2023-2027期アドバイザーの梶川三枝がバスケ強豪国の在日大使館を訪問し、各国のバスケ事情について4つの視点から話しを聞くこのシリーズでは、各国で異なる文化的背景や人気度、社会貢献のためのバスケットボールの可能性について詳しいお話を聞いていきます。
最初の訪問先はフィリピン大使館。前回はフィリピンにおけるバスケットボールの人気について触れました。幼い頃から家族中でバスケットボールに親しんできたという在日フィリピン大使館の国務次官(公共外交・広報担当)、ダレル・アルタテツさんとの対談をお送りします。(前半はこちら)
1st Quarter:各国でのバスケットボール人気について
2nd Quarter:各国でのスポーツ政策について
3rd Quarter:社会貢献のためのバスケットボールの力
4th Quarter:日本のバスケットボールについて
Bリーグにはフィリピン人選手も多数在籍
3rd Quarter: 社会貢献のためのバスケットボールの力
―――私たちは、バスケットボールの力を社会貢献につなげたいと考えています。フィリピンでは、社会や世界をより良くするために、バスケットボールにどのような役割を期待していますか?より良い生活や社会の変化をもたらしたエピソードがあれば教えてください。
それはなかなか重い質問ですね(笑)。しかしとても重要なことで、「世界バスケットボールの日」を宣言した決議の根底にあるものです。その決議の一部は、異なる文化間の障壁を取り除き、理解を促進するバスケットボールの役割を指摘しています。
バスケットボールには、身体的、精神的な健康、そしてスポーツマンシップ、友情、調和、他者との協力など、今この世界で非常に重要な価値観があると思います。
バスケットボールは、潜在的な可能性だけでなく、実際に社会的利益をもたらす力で、すでにそれが影響していると思います。(例えば)バスケットボールが、フィリピンとアメリカを強固にしていると思いますし、貧困層の出身でバスケットボールを学び、大学で奨学金を得て勉学に励み、それが人生全体を変えたという話しを数えきれないほど耳にしています。
つまり、このバスケットボールとそのスポーツを取り巻く産業、エコシステム全体の存在が、世界中の何百万もの生活やビジネスを支えていると言っていいでしょう。
バスケットボールを通じて、即座にコミュニティの一員になることができるし、地位に関係なく、誰もが楽しめるスポーツという点も、バスケットボールの大きな社会的意義だと思います。
4th Quarter : 日本のバスケットボールについて
―――フィリピンにとって、日本と日本のバスケットボールはどのように映っていますか?
まず初めに、フィリピン人は日本が大好きです。フィリピンの世論は日本に対してとてもポジティブですし、友好的な関係にあります。お互いに競い合っているときでも、好意的な雰囲気があります。
そして今ではBリーグにフィリピン人選手が在籍していますが、それにより、多くのフィリピン人が日本のバスケットボールやBリーグを知るようになってきました。ですので、アジアで最もバスケットボールが盛んな国として、日本だけでなく、アジア全体のバスケットボール愛好家やプレーヤーを知ろうという機運が高まっていると感じています。
―――2023年の夏に、日本とフィリピンはFIBAワールドカップという大きな世界大会を共催しましたが、そのプロセスや準備を通じて、主催国同士の協力の話はあったのでしょうか?
共同開催ということ自体が、同じASEANの国であるインドネシアと、フィリピンにおける最も永続的で重要なパートナーのひとつである日本との強い関係を物語っていると言えるでしょう。今回の成功により、今後さらに多くの協力関係が生まれることを期待しています。
バスケットボールは、以前は西洋のスポーツでしたが、今では私たちのスポーツとなりました。だからこそ、「世界バスケットボールデー」に意味があるのだと思います。世界のより多くの地域で、より多くの人々がバスケットボールを楽しむことができるんです。
―――ありがとうございました